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月光 3



2001/11/20 (火) 君の時刻
遠い空の下にいる人の 過ごす時刻を数えて探す
深い眠りにいるのかな それとも眠れず何かを思うの?

遠い空から舞い降りる 君の帰りを待ちわびる
まるで親鳥待っている 雛鳥みたいなこの気持ち

私を忘れている時間 私を思い出す時間
遠い場所で どちらが多い?

携帯の音鳴るたびに 君を思って震えてる
理不尽なほどの焦燥を 君に伝えておきたいと
君の時刻を数えて探す・・・


2001/11/01 (木) 冬の風景

真夜中の冷たい空気にあおられて 凍りそうな湖を眺めていた
水面に浮かんだ白鳥のボートを 気味が悪いと肩をすくめる私に
あなたは笑って煙草に火をつけて うなずいて見せたよね

あの日あなたはすいた国道 赤信号見落として
私は慌ててシフトレバーのあなたの左手つかんでた

抱き寄せたのは多分 好奇心だったんだ

眠ってしまった私から眠れないあなたが何度か離れて
朝までの時間はそれぞれに 甘やかに過ぎていった
あの朝の美しい風景を私はあんなに素直に声をあげて受け入れた

あんな気持ちは久しぶりで 隣で微笑むあなたが
この気持ちをくれた事にさえ そのときは気付かずにいた

恐らく好奇心だけだと お互いに思えたから

    
綺麗な形ではないけれど
この愛は私を暖かく包んでくれる

バランスがとれないけれど
この愛は私を素直にしてくれる

恐らく 離れようとするたび
私たちは何度も引き合うはず
何度も磁石のように罪が絡む

今この気持ちを私から剥がしたら
私は私ではなくなってしまうから

どうか用のすんだ値札みたいに
簡単に私から剥ぎ取らないで
今の私には他に代わりのない愛

引き合う事を怖がらないで
あなたの側にいさせて欲しい


2001/12/29 (土) Silent Night
「明日は雪が降るでしょう」
天気予報は見事にはずれて あなたの味方してるみたいな
まぶしい太陽 あなたの匂いがする 

悪戯そうな目つきのままで そっと触れた指先は
優しい時間を止める魔法 夕暮れまで待てない

その胸に手をあてて その声に耳を澄ませて
息を飲んで止められない声 あなたがそっと唇でふさぐ

微かな街の音も テレビの笑い声も
もう聞こえない 見つめている瞳には
燃えるような恋の花 そっと映してる

何度でも繰り返し上から背後から
波は訪れて あなたが最後にそっと沈める
私の心を掴んで沈める

月光は海に投げ出され
海はその銀の光受けとめて
ゆらゆら 風にまかせて 旅に出るんだね
今夜の二人みたいにね

大丈夫だよとささやいた
あなたの声を頼りにして
暗い眠りの森へとそっと落ちていく

朝日に照らされて
あなたが目覚めるまで
あなたの体にそっと背中をつけて
待っている

揺れている心と裏腹に
私たちの船はゆっくりと岸を離れる

岸辺を気にしながら
私たちは見詰め合う
月の光に照らされて
波に揺られて遊ばれながら・・・


2002/01/18 (金) 犬
身体を丸めて小さく眠って
誰か帰ってきたら思わず耳を後ろに倒して
まん丸な目を見開いたりして気を引いて
抱っこされてる赤ちゃんに嫉妬なんかして

アンテナ ぴんと左右に揺らした
だって一人で待っていた

ちゃんと抱いてね ちゃんと撫でてね
だってそれが全てなんだ

なんかのついでの存在でも
背中にくっついて眠りたい

そっとここにおいといてね
ずっとここに居させてね


2002/02/21 (木) 風はゆく
風はゆく 季節を連れて
風はゆく たった一人で

春は来たのかたずねてみても
ちらりとこちらを一瞥しただけ
風の言葉は 雲の形だ

風はゆく 雨を乗せて
風はゆく 姿もないまま

明日の空の色を問うても
さらりとかわしてひゅんと消えて
風の行方は 気まぐれだから

あなたの肩に頭を乗せて
風の姿を追いかけている
涙をさらう優しささえも
ついでのような振りをしながら

風はゆく 花を咲かせ
風はゆく 甘く香って

時に私はもう疲れたから
君に問いかけもう止めるから
この心だけ引きずって
天まであげてくれないか


2002/12/16 (月) 迷い道
もう何度も来た道
もう何回でも迷い
教えられるたびに
理解するのに
もう一度来る日には
また再び同じ場所をさまよう

本当は何度でも
迷いたい道
本当はもう
迷ったきり戻りたくない道



2002/10/25 (金) 何処へでも
何処へでも行こう
赤い葉をそっと握り
踏みしだかれた
どんぐりの隙間に
そっと足を運びながら

春も夏も
君がいて
秋も冬も
君といて

何処へでも行こう
金の扇が降る道を
かさこそと優しい
足音を聞きながら
君を求めて

何処へでも行こう


2002/09/10 (火) 光を待つ
これでいいのだろうかと 泣きたいほど迷っても

あたしの居場所はここにしかないから

あたしの責任は あたしにしかとれないし

あたしの権利は あたしにしか使えないし

これでいいのだろうかと すがりつきたい夜明けにも

あたしはここで 太陽を待つ

あたしはここで 光を待つ


2002/07/21 (日) 夏祭り
浴衣の裾に絡まった視線に
思わず身を縮めた
足首の白さを君だけが確かめている

石鹸の匂いと綿菓子の破片
電球に群がる夏の虫の悲劇

硬い帯の間に指を差し込んで
今夜君はどんな夢を見るの
ほの暗い帰り道は
熱を秘めてそっと静まりかえるだけ


2002/06/21 (金) 空
この星のラッピングは青い空と誰かが教えてくれて
気の済むように引き剥がそうとしてみたけれど
薄い粘膜のようにベタベタと張り付いて離れない

この空に包まれて私は息が詰まりそうになる
したり顔で抜けるような大気の層は私を見守るから
守ってくれと頼んだ覚えはない 何故そこにいるの

吸い込んで吐き出す気体の渦で壊れてしまえばいいのに
私の体をどこか遠い宇宙の隅へ吹き飛ばして
粉々に骨も残らぬようにして誰からも忘れられたらいいのに

空はこんな日にもしたり顔で私を見守って
そんなに私は不幸かと叫びたくなる
腕を振り上げて声を絞りたくなる

輪廻の果てで私は いつか いつか
空をいとおしむ日が来るのだろうか
こんなに小さな今にも消え入りそうな私が



2002/05/18 (土) レモン
目覚めたらレモンを切って ペリエを注いだグラスに向かって
ぎゅっと力を込める 色んな思いを握りつぶす
金色の果汁が手を汚す それでも構わずに
もう一切れのレモンを絞る この手の中で潰れていく情熱

炭酸の泡がレモンの液体を弄ぶ 上へ下へ揺れては混ざる
絡んでやがてひとつになって ただの飲み物へと変化して
さわさわと音を立てる 穏やかに静まり始める

飲み干す瞬間の感覚はあの夜にとても似ていて
顔をしかめた 太陽と目が合えば 照れるしかない

私の思いは固体から液体へ やがてただの清涼飲料水に
そうやって形を変えていくけれど
生涯この胸に宿り続けるから それだけは変わりようもないから
ずっと抱きしめて歩いていく ずっとそっと待っている

Tシャツに飛び散った レモンの果汁を指でなぞる
ふと香るその瞬間は まるで置き忘れた愛みたいだ
しばらくこうして 泣いていよう 
涙もグラスに注ぐ液体だと 言い訳しながら



2002/05/07 (火) 雨の記憶
冷たい雨が優しいなんて 知り得ずにいた ずっと
窓ガラスは結露 白く煙って 下らない私を隠してくれる

じんわりと青信号がにじむ この窓からは きっと
もう二度とめぐらない愛を ひっそりと見つめたりもできる

パパの黒い傘 ママの花柄の傘 おばあちゃんの折りたたみ傘
それから
私の赤い傘 弟の青い傘 誰のものかも忘れ去られたたくさんの傘

並べて並べて 作った小さな基地は
湿ったアスファルトの匂いに包まれて ほっと息をつく場所
懐かしい懐かしい 雨の記憶

この窓に隠された私は あの頃と同じ安堵を
冷たい雨の中に見出して しっとりと癒される

ぼんやりと灯った外灯が 道行く人を照らしても
私はそっと隠されている 私は一人隠されている
この冷たい雨の ほんの小さな思いやりで


2002/04/27 (土) 愛してなんかいない
身体だけでもいいよ つながっていれば
心が欲しいなんて いつ言ったっけ?

私の心を掴んで揺さぶるのは
あなたじゃない あなたじゃない

目を閉じて身をかがめて
私 もう これ以上は

ぬくもりだけでいいよ つながるのだから
全てが欲しいなんて 言った事ないじゃない

愛してなんかいない
愛されたくもない
笑顔で切りつける言葉をあなたに向けて
私 なんで 涙を流しているんだろう


2002/03/07 (木) 人工の味
あなたの腕の中に囲んでいる その小さな箱庭は
一体何を模して作られているのか まるで分からない
少しづつどこからか切り取っては 運んできたとでも
言いたげな緑 人工の味 人工の夢

あなたの指にとまった小さな石は 何カラットなのか
皆目見当もつかないけれど まるでおもちゃみたいだ
幸せをモチーフに他人が作った砂糖菓子を食べる
そこにリアルはない 人工の味 人工の夢

美しさを鼻にかけた少女が
自信過剰な少年と恋に落ちて
ちょっと待ってよ
ごまんとある話
なんてつまらない日常

あなたの20年後が今よりも もっと成長していたら
拍手を送ってもいいなんて思ってみる ありえない話
成長は若者に任せて 傲慢を繰り返した獣のにおいを
こんなところに残さずに どうか跡形もなく去ってくれ


2002/03/04 (月) 3月
まるでそこに居るような 君の幻
まるで君と居るような 午後の幻

紺色の夜空を抱き上げるように枝を広げた
白梅の群れを呆然と眺める 一人きり 今夜

君の言葉をかみ締めてみる
君の面影を抱きかかえたまま

不幸だと言えるのは まだ愛を知らないから
不幸ではありえない 気持ちがここにある

去年の続きのように
3月はやってくる
だから夢の続きのように
白い梅の木の下で

恋に落ちていこう
もう一度
愛におぼれよう
もう一度

あなたの心を支配するいろんな色のしがらみを
私がそっと口に入れて 甘く溶かしてあげる

暖かい夜よ
あの人の心を
私から引き剥がさぬように
特別な魔法を
私へと注いで欲しい

甘い香りは
もう
2人を支配しているのだから



2002/08/13(月)蝉

誰も見ていない真夜中に そっと木に登って
誰かに捕まらないように 静かに背中を開いて
柔らかな実体が 風に吹かれて 硬いよろいに変わるまで

あなたにだけ見せる 薄絹を剥いだ 肩も背中も
あなただけが口づける 小さく囲われた 私の柔らかい中身

だからあなたが
私を置いて 去っていくと
実体は朝露に溶けて 残るのは 乾いた抜け殻ばかり

あなたに愛された 白い実体は
夏の太陽の下で 無表情に 歌い続ける
1週間 歌って  命尽きて 落ちていく

残るのは 乾いた抜け殻ばかり
あなたの愛が戻るまで
そこにあるのは 抜け殻ばかり




2001/08/09 (木) 光と影
柔らかな光に体を投げ出して
あなたはそっと目を閉じて
     
その横顔にいつもどうして
こんなに引きこまれるんだろう

あなたがプラスで
私がマイナスで
恐らくふたりは
光と影みたいに寄りそう

あなたのプラスに浸されて
私のマイナスに光がさす
薄暗い部屋で立ち上がり
さっとカーテン開けたみたいに

私のマイナスはきっと
あなたをゆっくり
癒すでしょう
感じた事のない感覚で

時が止まるような
二人の時間は
冷たい水に泳がされ
ただゆっくりと満たされる

理由とか罰とか
何もかも逸脱して
私達はゆっくりと満たされる



2001/07/22 (日) 夏の鼓動
夕暮れの西の空には 太陽の去り際 描き殴るような光
この手を離れて 星は 密かに落ちていく

素直な愛の言葉も なんとなく 疎ましい夏の日は
不自然なウソで 自分さえも 欺いてみる

剥き出しの肩に 触れていく 熱風が
白い肌を焼いてしまうから どうか 身をかわして

本当に欲しいものがあるなら 
理屈ぬきで 黙って抱きしめればいい
迷っている間にも 砂は零れ落ちていくから

西の空にはまだ 太陽の悪あがき
知らない振りで 私は 夏の鼓動を聞いている

雷とも 祭囃子とも とれるような
夏の鼓動を 遠くに聞いている




2001/07/13 (金)
大切なモノ
いらない経験が あなたを疑わせる
信じたいのに まだ 疑ってる

多分同じ 多分あなたもね

この気持ちは嘘じゃない
だって自分の事だもの わかる

あなたに出会うまでに 
少し歳を重ねすぎたかな
傷つかない方法を選びたがる二人

あなたが思うよりも
あなたを思っている わからない?

大切なモノなら
手放さないでね
手放したら最後
あなたの人生に
太陽は存在しなくなるでしょう

影も 光も 苦いも 甘いも
存在しなくなるでしょう

こっちを見て
私の目の中に
ちゃんと存在して
逃げないで見つめて

大切なモノだから
手放さないと決めたの
手放したら最後
私の存在は意味も無くなるでしょう

寝て 起きて 寝て 起きて
果てしなく繰り返すだけでしょう



2001/07/07 (土) 7月7日
天の川 月を隠して
星の洪水 音がするほど

そっとそっと
星の一滴を
この手の中に収めて

あなたに会ったら
手をひらいて
二人で浴びよう
年に一度の光の洪水

短冊に
あなたを失いませんように
そんな
わがままな願いを
そっと書き付けて

あなたの短冊には
何が書かれていますか?
知りたいけど
恐いから聞かない

大切な唇に
そっと口付けて
あなたを
腕に抱いたまま
七夕の夜が 更けていく